SSブログ

蛍火艶夜単話版第4話 ―八木正蔵中尉前編―[新潮社 [ヨシオ]

蛍火艶夜単話版第4話—八木正蔵中尉前編—[新潮社]


amase
2023年09月13日

「…お前、身体洗ったばかりか?
せっけんのいい匂いがする…」

1944年9月。太平洋戦争のまっ只中——

海兵団出身の搭乗兵・田中志津摩二飛曹は、喜びを隠せずにいた。
ようやく憧れの絹の白羽二重のえり巻が届いたからだ。
配給から受け取ったえり巻を大事に抱え、心躍らせながら歩いていると、
ふと、夜空を見ながら煙草をくゆらせる人がいた。

不思議に思い声をかけた、志津摩は直後後悔する。
その人が、八木正蔵中尉だったからだ。

八木は、下の者に容赦なく鉄拳制裁を下すため、志津摩たちの間で恐れられていた。
話しかけてしまった手前、逃げ出すこともできず、しぶしぶ話に付き合うことになってしまった。
何を見ていたのかと問う志津摩に、ただ郷里を思い出していたと答える八木。
ただの世間話だったはずが——

「…お前、身体洗ったばかりか?
せっけんのいい匂いがする…」
「八木さんも…何やら、いっいいにおいします!!」

そうして、夜が始まった——。

特攻隊を舞台に繰り広げられる、漢たちのアツき魂のいななきを、濃厚な筆致と人物描写で描きあげるオムニバスストーリー、殉情の第四夜。






tag:
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:moblog

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。